火星大気・電離圏の研究

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火星大気・電離圏の研究

私たちの研究グループでは、主に火星上層大気の研究を行なっています。

火星探査機「のぞみ」による電波掩蔽実験

1998年に打ち上げられた火星探査機「のぞみ」では、火星上層大気の電波掩蔽(えんぺい)実験が行なわれる予定でした。電波掩蔽とは、探査機から送られてくる電波が惑星の大気を通過する時に大気によって変調を受けることを利用するものです。これによって、火星大気の気圧や気温の高度分布、さらに電子密度の高度分布が得られると期待されていました。

しかしながら、ご存知の通り、「のぞみ」は度重なるトラブルのために火星軌道への投入を断念することになりました。以下のサイトでは、「のぞみ」の詳しい説明と投入断念に至るまでの経緯について知ることができます。

火星大気の電波掩蔽実験はかないませんでしたが、上記サイトにもあるように、「のぞみ」は惑星間空間を巡航中に太陽コロナの構造を電波を使って調べました。「のぞみ」が遺してくれたこれらの電波科学観測の成果は今後の惑星探査ミッションに引き継がれていくことでしょう。

火星大気の赤外スペクトル観測データの解析

1996年に打上げられたNASAの火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」は、火星の周回軌道に乗った後、様々な観測を開始しています。その一つが、熱放射分光計 (Thermal Emission Spectrometer: TES) による火星大気からの赤外放射スペクトルの観測です。TESは、火星の表面から上層大気にわたって存在する様々な物質(地表の鉱物や大気中のダストや二酸化炭素など)から放射される赤外線を、幅の広い波長域で測定する機器です。その観測データはNASAによって世界に配布されており、インターネットを通じて自由にダウンロードすることもできます。以下のサイトでは、より詳しくマーズ・グローバル・サーベイヤーとTESについて知ることができます。

私たちの研究グループでは、このTESの観測データを詳細に解析しています。TESのデータからは高い空間分解能で火星大気の鉛直温度構造が導出できるので、これまでの観測ではわからなかった火星大気中の波動や乱流といった微細な擾乱について調べることができます。この研究によって、大気の運動のエネルギーが様々なスケールへ配分されていく様子や、擾乱の強さと発生頻度の地形や緯度による違いなどが明らかになると期待されます。